ワイルドハーツの魅力

2024年12月9日月曜日

WILD HEARTS 未プレイ者向け

前置き

 本ブログは「ワイルドハーツを推すブログ」です。作品の魅力となれば、語りたいことは山ほどあります。とはいえ冗長すぎるのも悪いので、ある程度まとめました。
 ……本当ですよ。細かいポイントも含めて語るとしたら、明日の予定と良い酒を空ける必要があります。

ワイルドハーツの魅力いろいろ

アクション

軽快な動きを見せてくれる獣狩

 真っ先に語るべきはアクションでしょう。

 ワイルドハーツには固有要素が様々あるものの、もっとも特徴的で、もっとも丁寧に作りこまれている部分は、アクションです。敵との駆け引き、攻撃や回避の手応え、ボタン入力の反応等、アクションゲームとして大事な部分がしっかりしています。

 そのぶん骨太と言いますか、難易度は少々高めです。しかしプレイヤーキャラが高性能なため、ゲームへの理解とともに強力なアクションを駆使できるようになり、楽しさの段階が上がっていきます。

 操作性は素直で、手触り良好です。一見複雑そうな各固有要素も存外スッキリしており、キビキビばんばん使えます。小回りがややききにくいことと、からくりの設置ミスが起きやすいというのはありますが……。

獣は強大な自然の力を体の一部としています

 「獣」はからくりと双璧をなす、ワイルドハーツの象徴です。ちなみに英訳しても kemono です。beast や monster ではありません。

 まずはそのビジュアル! 実在の動物ベースですから、親しみやすさと区別のつきやすさを両立しています。これに自然の恐ろしさを足し、神獣や霊獣のような雰囲気を作り出しています。モンハンやゴッドイータ―の敵は特撮怪獣のようなデザインですが、ワイルドハーツは異なる方向性と言えます。

 設定的にも神のような存在です。居るだけで地形も季節も変えるのですから。怒りモードの荘厳な演出は必見!

からくり

困ったら「からくり」で解決だ

 「からくり」を他のゲームに当てはめれば、特殊技/アイテム/マップギミック等にあたります。これらは普通、概念も操作もシステムも違うものです。

 しかしワイルドハーツは、「からくり」でこれらの要素をほぼ一本化しています。操作も管理もスッキリ。しかしやれる事は非常に多彩で、便利で、強力です。ちょっとズルいくらい優秀です。

 本ゲームで何か不便を感じたら、真っ先に「からくり」です。だいたい解決します。むしろ快適になるくらいです。

クラフト要素

その気になれば匣の上にも拠点を作れます

 クラフトゲーム的な要素もあります。「龍脈からくり」と呼ばれる種類のからくりは、拠点/獣の探査/高速移動/装備作成/食料の調達や加工……等のギミックとして自由に置けます。

 狩りゲーと非常に相性がいい! 同じマップで周回することの多いゲーム性ですから、「マップを自分好みに改造できること」には大きなアドバンテージとやりがいがあります。本ゲームの醍醐味のひとつです。

武器

非常に個性的な8つの武器種(画像は和傘)

 使える武器は8種類。武器種ごとにゲームがごっそり変わります。武器種間のバランスは良好で、突出して強い武器も弱い武器もありません。コンセプトがはっきりしており、どの武器も楽しく爽快な調整が施されています。

 操作は一般的なアクションゲームと比べれば複雑ですが、モンハンと比べればはるかに簡単です。アクションの幅を広げる「からくり」が共通仕様なこともあり、武器を変えても覚えることは多くありません。

武器の大技

大技と言えばこれ! 大筒のごんぶとビーム!!!

 ワイルドハーツは「とにかく大技を当てていけ!」というゲーム性です。立ち回りやからくりの運用は、大技のために詰めていきます。

 大技はいわゆる"儀式"を必要としますが、どの武器種も「外連味と火力 >> 儀式の負担」となっています。気分的にも効率的にもリターンがはるかに大きいため、"儀式"を毛嫌いする必要はありません。

 ゲームに慣れてからくりの使い方が分かってくると、大技を当てる機会も同時に増えます。大火力をがんがん当てて気持ちよくなれます。

武器の強化

欲しい継承スキルを求めて一筆書き

 武器の強化ルートが網目状になっています。「継承スキル」を一定数引き継いで強化できる仕様です。これにより好きなスキル構成で武器を作れるため、いわゆる「沼」となります。エンドコンテンツを回す理由の一つです。

 なおクリア前の段階では、凝った強化を行う必要がありません。ラスボスを倒すまではスキルなんてほとんど無視し、物理攻撃力の高い武器を選ぶだけで十分です。凝った強化はエンドコンテンツです。

武器モーション

お手本のような所作の刀

 武器モーションはよくできています。本物の達人の所作をキャプチャーしたとのこと。そりゃあ、綺麗な動きになりますよ。

 個人的には、手首からの先の動きにこだわりを感じます。とりわけ納刀・介錯のモーションに細かい手の動きが見られます。省略してもゲームにさして影響しない部分ですが、一方で、武器に対する思い入れにかなり影響する部分だとも思います。

 ただし、ここの開発はアクションゲームであることを最優先しています。どんなに凝ったモーションも、必要があれば容赦なくキャンセルできる仕様です。モーションに対する優先順位の明確さも、ある意味こだわりと言えるでしょうか。

介錯

落ち着いた雰囲気ながら気持ちの良い演出

 獣の体力を削りきると、澄んだ音が響き、獣が倒れます。獣狩はうめく獣に最後の一撃を見舞い、畏敬の念とともに一礼します。

 要はトドメの演出なのですが、このゲームならでは寂寥感と外連味に満ちています。素材や報酬を獲得するリザルト画面も兼ねており、静かで上質な達成感が得られます。

音楽

勇壮かつ疾走感のあるヒメトサカの曲

 音楽は極上です。サントラが存在しないのは何かの間違いです。

 私はゲーム音楽に対し無頓着な方ですが、ワイルドハーツに限っては序盤の数曲だけで「もうこのゲーム推すしかねえ…」と思えたくらい、音楽に聞き惚れました。

 特に、獣の怒りモードの荘厳さと言ったら! 3パターンある戦闘曲がシームレスに切り替わる演出もどうかしています。こちらの感情がシームレスに手玉に取られます。最高かよ。

 サントラが存在しないのは何かの間違いです。

効果音

どこからともなく聞こえてくる環境音

 効果音も極上です。気持ちの良い音しか聞こえてきません。

 意識して聴くと、細かく丁寧に整えられた音が聞こえてきます。開発陣の強いこだわりを感じる効果音は、ワイルドハーツの世界観とプレイフィールを支えるとても大事な要素です。

 体感しないとどうしても分かりにくいことですが、実際に遊べば分かります。このゲームを語る上で、音も欠かせないものだと。

ビジュアル(背景)

飢えた獣と異常な四季に覆われたあづまの国

 彩度の高さ、荒廃した和、美しい四季、厳かな自然、これらが渾然一体に表現された中世和風ファンタジー的ビジュアル。コーエーテクモのゲームですから、細かい和風表現も完璧です。

 こういうの、意外と珍しいんですよね。特に彩度や四季。和風ゲームは数あれど、なかなか全部盛りって訳にはいかないのでしょう。ワイルドハーツは全部盛りです。素晴らしい。

 どこを切り取っても絵になります。フォトモード、何故、無いんですか……。

どこにでも登れる

異様な高所まで登れる夏木立の島

 マップの端を除き、見えるところはだいたい登れます。この手のゲームにありがちな「見えない壁」はありません。主人公(獣狩)のパルクール能力の高さもあり、バグを疑いたくなるくらい、よくわからない所も登れます。

 この仕様は飛蔓(ジップライン)をはじめとする龍脈からくりと相性が良く、とんでもないショートカットや拠点構築を可能にしています。

世界観・ストーリー

人も獣も滅びの螺旋のなか

 中世日本風SFですが、かなり骨太な世界観です。

 舞台となる「あづまの国」は十数年前の戦より荒れ果て、自然の猛威そのものたる「獣」が跋扈し、人里「湊」は窮状に立っています。命が軽く、無常とも言えるこの世。それでも必死に、あるいはどこか諦めつつも、人や獣の生きる姿があります。

 ストレートに人と自然がぶつかり合う世界観は、荒々しくも美しさが感じられます。

フレーバーテキスト

十数年前の戦について記された書簡

 各所に書簡が落ちています。メインストーリーで直接語られていない情報が記されています。読まずとも本編のおおまかな話は分かりますが、集めて情報を整理すると、この世界の様々な背景が見えてきます。

 かつての戦、石堂家の嘆き、安護家の所業、今を生きる人々の日記、古代のからくり、遥か遠い昔の獣狩の想い……。興味を持たれたら読んでみてください。作り込まれた世界観が伺えます。

キャラクター

初登場時のヒロイン(左)

 NPCも魅力的です。バックグラウンドがしっかり作り込まれた湊の人々は、物語と世界観に命を吹き込んでくれます。不快感を感じるような人物はほとんど居いません。また、サブクエストの多くでNPCの掘り下げがあります。

 なお、「ヒロインは誰か」と問われたら「大堂寺氏繁」と答えるしかありません。CV山路和弘で、片腕片足が不具の、ほら吹きのおじさんです。なお、他のヒロイン候補としては色気ムンムン超美形男子やツンデレショタが並びます。

 女性NPCに問題があるわけではないんです。むしろ皆さん、美人で性格良好です。ただ、一部男子のヒロイン力があまりに高すぎて……。

フルボイス

わずかな出番のモブキャラにも声がついています

 NPCの台詞は完全フルボイスです。脇役や端役も喋ります。リップシンクや表情のつけ方も割としっかりしています。こういったものはアクションゲームとして必須の要素ではありませんが、ここまでキッチリやってくれると、没入感が違います。

ゲームバランス

属性ダメージを大きく減らす「変転の灯篭」

 初見の獣は凶悪です。20~30分の死闘の末「もう戦いたくない……」と思ってしまいます。しかしいつの間にか、5分でサクッと片付くようになります。獣への慣れとからくりへの理解が、大きな手ごたえとして返ってくるのです。

 生存力を高める手段も豊富です。敵が強いと思ったら属性耐性・防御・回復を重視してみてください。目に見えて戦いやすくなり、難易度がごっそり減ります。

 要は「工夫と対策で劇的に楽になる」というバランス調整です。愚直な力だけでは、人は獣に及びません。知恵と技術こそ人の持つ爪と牙であり、ゲーム性の根幹となります。

ゲームのテンポ(周回)

食事バフも、いつでもどこでも

 ワイルドハーツは狩りのサイクルが早いです。

 狩りゲーは「前準備→クエスト受注→戦闘→リザルト」を1サイクルとします。ワイルドハーツは準備の手間がほとんどなく、戦闘も(慣れれば)数分で終わるため、ゲームをテンポよく楽しめます。

 食料の準備には時間をとりますが、大量生産用の設備を整えることで、全体的な手間を小さくすることができます。

整理されたシステム

からくりが管理要素をスッキリさせています

 管理要素が少ないんです、このゲーム。

 常時気にすべき管理要素は、天つ糸とスタミナくらいです。武器固有ゲージの管理はさほど面倒がありません。バフ・デバフ要素も少なく、手間は少なめです。食料や龍脈コストに関しては戦闘中無関係。

 総じて細かいことを気にせず、アクションに集中できる仕様となっています。アクションゲームとしての手触りの良さとして、こういう土台もあるわけです。

同時狩猟「なし」

ターゲットが複数あっても混戦は無し

 同時に複数の獣と戦うことは、一切ありません。2体以上の獣が同じエリアに入った場合、すぐに片方が退散します。この仕様は徹底されています。

 多くの狩りゲーでは複数同時狩猟をたびたび強制されます。プレイヤーとしては勘弁してもらいたいクエストですね。ワイルドハーツにはありません。安心してください。

キャラメイク

「姿写しの鏡」でいつでも再メイク

 キャラメイクの自由度と質は非常に高いです。顔、肌、髪、体系、思う存分いじれます。「仁王2」をご存じならば、だいたい同じと見なして構いません。

 また、キャラメイクのやり直しも可能です。中盤くらいで手に入る龍脈からくり「姿写しの鏡」により、ノーコストでやり直せます。キャラメイク好きに親切なゲームです。

マルチプレイ

獣狩の焚火からも各種マルチプレイに

 マルチプレイの敷居は低いです。1回限りの救援要請/救援応答ならば、サクッと気軽に行けます。一方、パーティを組んで何度もクエストに行けるマルチ部屋も作れます。

 マルチプレイの場合、倒れたプレイヤーを別のプレイヤーが蘇生可能です。また、クロスプレイにも対応しているため、PS5ユーザーもPCユーザーも共に遊べます。

 何より、マルチプレイは人のマップを確認できるのが楽しいです。他人のからくりの使い方は非常に参考になります。初心者こそ、マルチの門を叩いてみましょう。

モンハンとの差別化

明確に違うアクション性

 「魅力」として話すことではありませんから、最後に回しましたが、言及しないわけには行かないでしょう。ワイルドハーツとモンハンのゲーム性は別物です。ジャンルが同じ(狩りゲー)というだけです。

 例えば同じオープンワールドゲームでも、ゼルダ(ブレワイ)・ウィッチャー・ホライゾンの楽しさは別物ですね。ワイルドハーツとモンハンもそういうことです。

 差別化のポイントは……既に、たくさん上に書いています。

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